BIG3対談!ネット版スペシャルロングバージョン。2008年はどんなヘアスタイルが流行るの? これまで数々の流行スタイルを生み出してきた、ヘアスタイリストBIG3に聞いてみたよ。本誌ではダイジェスト版でお送りした内容を、“ネット版スペシャルロングバージョン”でお届けします!

今年注目のテイストは“カジュアルモード”。春ならではの軽さにも注目!

森内:どうですかね、2008年の春は?

高橋:去年の秋冬でフェミニンからモードに移行しましたよね。前髪なら、愛らしい感じからもうちょっと長さや重さがあるものに、曲線的から直線的に。春になると、そこにもう少しざっくりした空気感がプラスされるでしょうね。言葉で言うと「カジュアルモード」でしょうか。今までよりももうちょっとカジュアルになりつつも、モード感も残ったようなものが旬かな、と。

宮村:今回、本当は短めのヘアを提案したかったんですよ。長いのはもうやりすぎちゃって、いいかなーと(笑)。今まで“Aライン”とか「重た目」を提案してきたけど、それがだいぶ浸透してきていて、もう重すぎちゃうのかなぁと思って。じゃ、その重すぎるなかで今度どういうふうに変えていくのかというと、“Aライン”のシルエットに少し柔らかさとか軽さとかが加わったシルエットかな、と。“新Aライン”ですね。春なんでちょっとカジュアル感を入れて、まぁ、僕はそれを“青原フェミニン”と名づけました。青山系の人は少しカジュアル寄りにしたい、原宿系の人は逆に背伸びして大人になりたい、その中間ですね。

森内:また、わけわかんない名前つけて(笑)! 業界とか雑誌とかでは毎年「ボブが流行る」って言うんですよね。基本的に、ボブは美容師の原点でありながら、ファッションであったり、街の空気感であったりに影響されて変化していってる。そういった意味で、僕はやっぱりボブやショートに注目しています。ボブって一言で言っても、今はとても幅広いですしね。まぁボブに限らず、ミディアムでもロングでもそうですが、カットラインであったり、パーマの完成度であったり、カラーのコントラストであったり、しっかりしたデザインが入っているものに要注目です。どこかに意志を持つような強調性のあるデザインが増えるでしょうね。とにかく、長いことロングが続いたので、今年はバッサリ切る人が増えてくるんじゃないかなって予想してます。

高橋:今までだとショートボブの人が多かったけど、ボブに段をつけて動きを出して、もう少しショートっぽい人が増えてくるのかなっていう気はします。よりカジュアルな感じの。

宮村:あとは、相変わらずパーマかな。“エアウェーブ”(※)が浸透してきているので、さらに質感にこだわった「スーパーエアウェーブ」とか。

エアウェーブ_「クセ毛のように自然で柔らかな質感に仕上がる」と話題の新パーマ。40〜50度の温風を使うので、髪への負担が少ない。


ファッションの動きとリンクしてヘアの流行も動く

宮村:ヘアスタイルのトレンドを考えるって言っても、これと言ったインスピレーションになるものって実はあんまりないですよね。僕の場合、けっこう思いつきや直感的なところもあるので…。でもまぁ思いつきや直感と言っても、トレンドや常に新しい何かを取り入れたいと思っているし、そういうのをきちんと考え抜いて分析した上での直感ですね。

森内:そうですね。あとよく、雑誌とかで「来年の春夏どんなのが流行ります?」って聞かれるんだけど、サイクルが早いんですよね(笑)。春夏言ったと思ったらもう秋冬になっちゃう。僕なんか2年前「ハードパーマ」って言ってて、全然流行んなかったですからね、アハハハハ。

宮村:僕、ちょっとは信じたんですけどね、「あ、ハードパーマくるのかなぁ」って(笑)。

高橋:僕の場合、やっぱりファッションの流れにインスピレーションがはたらくことが多いですね。モードの流れで言えば、やっぱりパリは早い。中でもマレ地区は今本当に面白いです。ピカソ博物館とか、あの辺。お店のウィンドウを見てるだけで刺激を受けますね。香港を抜かしたアジア圏は、やっぱりトレンドが見えにくいんですね。アジアは日本を見ているから、日本から発信するものがトレンドなんです。あと、前に宮村さんが「さんざんロングやったからもういいかな」って言ってたみたいに飽きてくる部分は確かにある。ファッション界の時代性と、こちら(美容師)側の提案と、お客様の気分が重なった時にトレンドって動く。ファッションのモード色が強くなってきている今、ヘアもそっちのほうに動いていくと思うんですけどね。


美のベースになるのは髪その意識をもっと高めて!

森内:ヘアとファッションとの関連性は常にありますよね。髪型に気をつかったら服装もきちんとしようと思うし、メイクもバッチリやっちゃおうかな、って気分になるじゃないですか。「髪はボサボサでいいやー」ってなったら、生き方までダラダラしちゃう。そういう意味で、女性にとって髪はかなりキーポイントになると僕は思ってるんです。だからこそより意識したほうがいいですよね。例えば、芸能人の方ってデビューすると、どんどんきれいになっていくじゃないですか。それって、いつも鏡を見て自分の姿を意識してるからで、そういう気の持ちようで人間っていくらでも変われる。髪への気のつかい方ひとつでも、「この人すごくちゃんとしてるな」とか、逆に「この人はすごく無精なんだな」とか、生活感も見えてきますよね。

高橋:そうですよね。あと、自分たちがアドバイスしたことによって、もっと美しくなれる可能性もあるじゃないですか。ちょっと変えるだけでグッともう一段上に見えたりとか。さっきの話じゃないですけど、意識が上がると女の人っていくらでもきれいになれる。そういう、きれいになれる意識を上げる方法みたいな部分をアドバイスできればいいと思いますね。

宮村:うん。スタイリストとしてはもちろん、男性側からの気持ちとしても、髪に対してきちんと心配りをしている人のほうが魅力的だし、女性にはいつもキレイであってほしいと思います。


取材・文/たんろ 撮影/永谷知也 スタイリング/中野あずさ(biswa)