ボクと彼女とミラジーノ碧い湖編 2：2024年12月30日｜らくぅな(La*Coona)のブログ

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プライベート

投稿日：2024-12-30 15:15:31.0

ボクと彼女とミラジーノ碧い湖編 2: オートキャンプ場の入口は、その坂道を下りきってしばらくすると見えてきた。
看板は錆がひどく、もう何年も前に廃業したかのような風情である。
ゲートをくぐり先に進むと、受付のおじさんがゆっくり近づいてきた。
実はこのおじさん、会うのはこれが初めてではない。
二十年以上前に、ボクは父親に連れられて遊びに来たことがあったからだ。

当時は、何でも知っていて頼りになるキャンプ場のお兄さん、というようなイメージだったのを覚えている。
でも実際には父とそんなに変わらない歳だったのだろう。
今となっては、無精ひげと薄汚れたオーバーオールも手伝って、キャンプ場のゲートと同じような風情が漂っている。

案内された場所は、管理棟に近いコテージ付きの区画だ。
ボクはテント泊だが彼女にはコテージに泊まってもらう。
ここならトイレも近く、ガラガラ状態で人の行き来も少ないので、ベストな場所だろう。
彼女が不思議そうに尋ねる。

「ねえ、ここすごくいいところなのに、何でこんな閑散としてるんだろうね」
「ああ、実はね、ずっと前にこの上流で鉱物の採掘が行なわれてたんだけど、汚染物質の流出が問題になって、この地域の観光が大打撃を受けたんだ」
「へぇー、そうなんだ。今は危なくないの？」
「うん、早急に対策がとられて、その後の調査結果でも健康被害が出るほどじゃないとされたんだけどね」
「だれも来なくなっちゃったんだ」
「風評被害ってやつだね。もともと碧い湖だったのに、いつの間にか汚染物質のせいで青くなったってことになってるよ」

そう考えると、管理人のおじさんも相当苦労したんだろうなと今さらながら思う。
そしてよく続けてくれてたなと。

「さて、荷物を下ろそうか」
「えー？おなか空いちゃったよ」
「荷物を下ろさないと料理もできないよ」
「お弁当、買っておけばよかったねー」

身も蓋もない答えに苦笑いしながら、ボクはミラジーノのルーフキャリアに手を伸ばした。