筋膜リリース32：2023年8月3日｜立町庵のブログ｜ホットペッパービューティー

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投稿日：2023-08-03 06:55:14.0

筋膜リリース32: 　徒手療法を行う専門家の間では、表在、深部のどちらが重要であるか、また、どちらを先にアプローチすべきか、などで、意見が分かれることがよくあります。
　機能解剖学的に振り返ってみましょう。
　浅筋膜は、体温調節やリンパの流れ、静脈循環、皮膚感覚認識に関わります。一方の深筋膜は、固有感覚認識や末梢運動協調性にその多くを関わりを持っています。
　表在性マッサージで主な対象となる皮膚支帯は、疎性で薄いため、浅筋膜には効果を与えますが、深筋膜には直接的な効果がないようにみえます。ただ、浅筋膜および深筋膜は、解剖学的に直接関係を持っているため、皮膚支帯をきちんど治療すると、浅筋膜の改善とともに、深筋膜の層に良い効果をもたらす可能性は大きいと考えられます。確かに、浅部のアプローチにより深部が改善することはよく経験し、関節可動域制限まで改善することが非常に多く見られます。　
　一方、深部にある深筋膜にアプローチするには、皮下脂肪組織の位置を変えることが必要ですので、臨床家は、徒手の接する面を小さくすることで、直接深筋膜にアプローチしています。ただ、経験的には、表在の改善が得られないと、深部の改善は乏しいことがほとんどで、もし効果が得られても、それは短時間で元に戻ってしまうのです。
　そもそも、臨床的には、浅部、深部というどちかか一方だけに起こることは稀であり、徒手療法では、圧迫や剪断力などの物理的な力は、皮膚を介して伝達しますので、当然表在組織まずアプローチすることになるのです。
　ちなみに、整形外科医が行う注射による筋膜リリースは、深度が自由に選択できます。
参考文献
Carla Stecco　筋膜系の機能解剖アトラス　医歯薬出版株式会社
Michael Schunke　プロメテウス解剖学アトラス　医学書院
Bruce Alberts　細胞の分子生物学　ニュートンプレス
Gerard J.Tortora　人体の構造と機能　丸善株式会社