どうする家康、どうなる江戸時代、日本26：2023年9月30日｜立町庵のブログ

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投稿日：2023-09-30 11:03:45.0

どうする家康、どうなる江戸時代、日本26: 　どうする家康では、武田の忍びであった千代を、鳥居元忠の妻として、家康が認める場面が描かれました。ここで家康が千代にかけた言葉にしびれました。それは・・・情けではない、幸せになることは、生き残った者の務めであるとわしは思う・・・。この言葉は、現在に生きるすべての人へのエールのようでもあり、大変感動いたしました。
　それでは、家康関連コーナーに行きます。鉄の2回目です。
　江戸時代までの製鉄は、たたら吹き製鉄法でした。その原料は、砂鉄と木炭です。
　たたらは、土を固めた釜で、地上長さ3メートル、幅1メートル、高さ1メートル、地下は、深さ5メートル。複雑で大掛かりな構造となっています。　
　まず火を焚いて炉床を乾燥させます。次に木炭を点火し、釜の両側にあるふいごから40本の管を通して空気を送り込みます。そして、1時間後に砂鉄を投入します。最初は、30分おきに木炭と砂鉄を投入、徐々に間隔を短くします。最後には10分おきに70時間続けます。すると、厚さ25センチメートル、重さ約3トンの鉄が釜の底に溜まるので、釜を壊し、鉄を引き出します。
　この製鉄法は、炭素を還元剤として、酸化鉄から酸素を分離したものです。木炭が燃えて、炭素と酸素が1原子ずつ結合した一酸化炭素には、強い還元作用があります。しかし、同じ木炭が燃えても、炭素に酸素が2原子結合した二酸化炭素には、還元作用はありません。
　送風量が多いと二酸化炭素が増え、送風量少ないと一酸化炭素が増えますが、一酸化炭素量を多くしないと還元作用が進みません。それを当時の人は、1500度近い焔の状態を見て、その還元状態を判断していたのです。
　出来上がった3トンの鉄の塊。水車を使って、10メートルまで巻き上げて落下させ、その衝撃で割ります。それを、ハンマーで叩き、不純物を取り除き、完成です。
　こうしてできた玉鋼。現在の非常に高度な鉄鋼技術をもってしても、このレベルの鋼鉄はできません。昔の人は一体どのようにして、このたたら製鉄法にたどり着いたのでしょうか。
　ただ、エネルギーでみると、現代の製鉄法では、粗鋼1キログラムつくるのに、4000キロカロリー、石油換算で400ミリリットルでできましたが、江戸時代の製鉄では、23000キロカロリー、石油換算で2300ミリリットルも必要でした。地球環境との共存はこの辺りなのでしょうか。
　石川英輔　大江戸えねるぎー事情　講談社文庫