脳疲労ってどんな状態?

脳には視床下部と前帯状回という場所があり、自律神経の中枢と言われています。

これは全身を司る司令塔の役割で、脳のほかの部分や筋肉、内臓などあらゆるところに常に命令を出しています。 そして体は司令塔からの命令を受け取り、体温を調節したり、血流を維持したり、酸素やブドウ糖を届けたりと、脳を守るために機能しています。

脳疲労とは、命令をたくさん出しすぎて自律神経の中枢が疲れている状態のことを言うのです」(梶本さん)

脳が疲れる原因とは

なぜ脳が疲れるかというと、自律神経の負担となる状況を作っているからです。

“安全・安心・快適”な環境であれば、自律神経が命令過多になりにくいのですが、暑い・寒い・酸素が少ないといった過酷な環境や緊張、情報量の多さは自律神経を疲れさせる原因に。

脳が疲れるとその信号が眼窩前頭葉に送られ、それを“体の疲れ”として自覚するのです。

また、発達した前頭葉が疲労感を覆い隠してしまうため、隠れ疲労につながることもあります」(梶本さん)

体の疲れの正体は脳疲労!

脳疲労の仕組
自律神経の中枢が疲労を起こし、シグナルを出している。体の疲れは実は脳の疲れである。

脳疲労を放っておくと…

「脳疲労は自律神経を酷使している状態ですから、それが続けば自律神経失調症を招きます。 つまり司令塔がきちんと機能しなくなり、全身への命令をうまく出せなくなってしまうのです。

するとホルモンバランスが乱れる、免疫機能が低下する、生活習慣病のリスクが高まるなどさまざまな弊害が起こりうるのです」(梶本さん)

脳疲労対策に必要なこと

「現代社会では、人間は過酷な環境に置かれていることが非常に多いのです。 通勤や会社で過ごす時間が長く、リモートワークが増えた今は、自宅がくつろぐための場所ではなくなっている人もいます。 たくさんの情報があふれ、脳が処理しなければいけないことも多すぎますよね。

まずは、自分にとって“安全・安心・快適”な環境を作ることが大前提。自律神経をいたわることで、脳疲労の改善につなげましょう。

体の不調や疲労感の前に出てくる、脳疲労の兆候を見落とさないことも大切。 飽きる、眠くなる、パフォーマンスが落ちる。これがサインです。

その時は小休止や気分転換をすることも対策のひとつです」(梶本さん)

あなたはどのタイプ? 脳のお疲れ度チェックしてみよう

チェックリストにあてはまる項目が多かったものが、あなたのタイプ。

タイプ別脳疲労を予防&改善するには

脳疲労のタイプに合わせた解決策をご紹介。 リラクサロンの癒やしメニューや、日常の中に取り入れられる工夫がいろいろ!

Aが多いあなたは…デジタル脳疲労タイプ

あなたの脳、もしかしてオーバーヒートしているかも…!? デジタルデバイスを一日中手放せないでいると、仕事でも自由時間でも脳の処理量が増え、交感神経優位の状態が続いてしまいます。 自律神経のバランスが乱れ、眼精疲労や肩こり、冷えなどの不調のモトに。

サロンケアで改善

脳をクールダウンさせるドライヘッドスパ
頭皮全体や首筋などをもみほぐし、疲れをオフ。 パソコンやスマホを使い続けて交感神経のスイッチが入りっ放しになっている状態から、副交感神経に切り替えてリラックスした状態に導きます。

セルフケアで予防

お風呂でスマホはNG!SNSや動画と距離を置く
お風呂場にスマホを持ち込まず、湯舟では目を休めてリラックス。 できれば寝る1時間前に入浴し、そのまま眠るまでスマホを見ないのがベスト!
スマホの設定を工夫してプチ・デジタルデトックス
ロック画面ではアプリの通知をオフに、メインのホーム画面上は必要最低限のアプリのみにするなどちょっとした工夫でスマホにとらわれる時間を軽減。

Bが多いあなたは…睡眠負債脳疲労タイプ

睡眠は時間よりも“質”に注意が必要。 例えばいびきをかく人は、酸素が足りず脳の疲れが取れません。 電気をつけっ放しで寝ている人や、暑さ寒さを我慢して寝ている人も睡眠の質が低下。 睡眠負債が蓄積して脳疲労が溜まり、日中に頭が冴えず仕事の効率が悪くなることも。

サロンケアで改善

深い眠りをもたらすリフレクソロジー
足裏を心地よくもみほぐすことで冷えやだるさが軽減するとともに、高いリラクゼーション効果が期待できます。 それによって自律神経が整えられ、眠りが深くなり、寝つきもスムーズに。 心身がリフレッシュします。

セルフケアで予防

横向き寝でいびきが改善!フィットする枕を使おう
横向きで寝ると気道が確保されるので呼吸がスムーズにでき、いびきをかきにくくなります。 横向きの時に首を支えられる高めの枕や抱き枕を使うと◎。
「頭寒足熱」を心がけて睡眠の質をアップ!
脳に快適な温度は22.5度以下と言われます。 室温を24~25度にして鼻から吸う空気で脳を冷やし、体は夏でも毛布や布団でしっかり温めましょう。

Cが多いあなたは…ストレス脳疲労タイプ

人間関係の悩みや慣れない環境、不安な状況といったメンタルストレスが長く続くと、緊張や興奮を司る自律神経に負荷がかかります。 すると、脳が刺激に対して追いつかず、疲労が積み重なってしまうでしょう。 あまり深刻になりすぎず、時にはあきらめや割り切りも大事です。

サロンケアで改善

香りと手技に癒やされる
血流やリンパの流れが整うほか、ストレスコントロールにもお役立ち。 精油の香りと人の手のぬくもりで体も心もほぐれます。落ちつくフローラル系や気分を上げる柑橘系、すっきりするハーブ系など好みの香りを選んで。

セルフケアで予防

仕事以外に何か趣味を持ち価値観を分散してみる
趣味を持つと自分が行く場所や会う相手の幅が広がり、価値観や人間関係が分散。これまで深刻にとらえていたものに対する考え方が変わるかも。

“ホーム”を感じられる場所やくつろぎ時間を作る

自宅に限らず、カフェやサロンでも良いので、何も気にせずくつろげる場所=ホームを持つことが大事。ホッとできる時間でストレスの蓄積を防いで。

時にはストレスと向き合い傾向と対策を考える

自分にとって何がストレス源なのか、どんな対処をしているか、その対処がうまくいっているかどうかなど、書き出して客観的に見つめてみましょう。

東京疲労・睡眠クリニック院長。大阪市立大学大学院医学研究科疲労医学講座特任教授を歴任。多数の著書やメ ディア出演を通じて、疲労や睡眠の正しい知識を伝える。
企画/小濱萌(本誌) 構成・取材・文/井上菜々子 イラスト/あべさん 取材・画像協力/トータルセラピー 昭島モリタウン店
※各施術やサービスは、サロンやメニュー、施術者によって異なります。詳細は利用する店舗へお問い合わせください。※効果は体調改善で、体質改善や症状の緩和とは異なります。

詳しい内容は、HOT PEPPER、HOT PEPPER Beauty2021年5月号【2021年4月26日(金)発行号】にてご覧ください♪

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