16の夜　第4話：2022年2月15日｜アトム(Bodycare&Relaxation ATOM)のブログ

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投稿日：2022-02-15 01:14:35.0

16の夜　第4話: 店内に戻った2人にTは『なんや、もう戻ってきたんかい。で、なんて声掛けたんや？』とBに聞くと『まあ、こんばんはとかなんとか・・・』と曖昧に答えたのでTは更に『ハッキリせーや！なんて言ったんやって？』と、しつこく聞くので『いや、今日ナイターはやってんスかって・・・』と渋々答えたのです。
『やっとるに決まっとるやろ、あんだけ照明が光っとりゃぁよ～！』と重ねて言うとBは『じゃあよ、手本見せてくれよ、手本』と言ったのです。

私も内心俺らはやらねーって訳にはいかねーだろうと思っていたのでTの方を見ると震える声で『ワ、ワシもナニワのナンパ師と呼ばれた男や！ワイの落としのテク、よう見とけ！』と物凄い啖呵を切ったので、私はコイツ、大丈夫か？と心配になりましたが、Tは私を見て『おう、行くで！』と涙目で叫んだのです。
私はその時、引っ込みがつかなくなった人間の悲哀を見た気がしたものです。

外は想像以上に寒く、こんな所でガキに声掛けられても迷惑でしかねーだろと思いながら顔を上げると前から2人連れの女の人が歩いて来たのです。
Tは思いつめた表情で歩き出しました。
女性達の前でTは多分寒さの為だけではなく耳を真っ赤にして『す、すいません。あの・・えっと・・』　
数秒だったんでしょうけど、物凄く長く感じた沈黙の後Tは『あの・・・その・・・今日ナイターって・・・』と、蚊の鳴くような声で言ったのです。

女性達は怪訝そうな顔でなんだ、コイツらと言いたそうな表情で私達を睨み付け、足早に去っていきました。
Tは下を向いたまま黙ってしまいました。
私が『戻ろうぜ・・・』と言い、店に入るとBは阿修羅の如き表情でイスにも座らず待っていたのです。

『ナンパ師さんよ～、随分と早いお帰りじゃねーか？で、なんつって声掛けたんスか？』
私もTも黙っていると更にBが『落としのテクっつーのは炸裂したんスか？』と、ネチネチ言うので私が冗談ぽく『ナイターやってんのか、聞いたり聞かなかったり・・・』と言うとBは盗んだバイクで走り出すどころか、その盗まれたバイクの持ち主なんじゃないのかっつー程に怒りで身を震わせながら『はい？ナイター？あんだけ照明が光ってんのに？オノレ、ホンマにええ加減にせえよ！』とブチ切れ、遂にBの口から関西弁が炸裂したのです。
その時K君が『とりあえず帰ろうよ・・・』と呟いたのです。　

次回、遂に感動のフィナーレ！