ゴーズ(GO’S)のブログ
プライベート
投稿日:2025-11-26 09:48:16.0
- 第二話 静かな重さ
- トレーナーが軽く頭を下げた。その笑顔は、営業用の軽さとは違い、誰かを急かすでもなく、無理に持ち上げるでもない、落ち着いた温度を持っていた。
亮は胸の奥がわずかに解かれるのを感じた。
社会の中では、常に“できて当たり前”という期待に晒されている。
初めての場所で、初めての自分で、初めての挑戦をすることにさえ、どこか羞恥めいたものを覚えてしまう。トレーナーは小ぶりのダンベルを手に取り、亮の前に置いた。
それは、亮が想像していた「筋トレ」のイメージよりもずっと軽く、玩具のように思えるほどだった。
「最初はこれくらいで十分です。重さより、動きの方が大事なんですよ」
亮はその言葉の意味を掴めぬまま、指先でダンベルを持ち上げた。
見た目ほど重くはない。しかし、その軽さがかえって胸に刺さる。
仕事で背負う責任や、歳を重ねるごとに増える疲労とは違い、これは“持とうと思えば持てるはずの重さ”だ。なのに、それを素直に受け取れない自分がいる。
トレーナーの声は、日常の喧騒とは違うリズムで響いた。
肩の奥で筋肉がわずかに軋む。
その軋みは痛みではなく、自分の存在を内側から確認しているかのような感覚だった。
何度か動作を繰り返すうち、亮はふと、自分が久しく忘れていた“身体の輪郭”を思い出していた。
机に向かい、曖昧な疲労感だけを抱えて過ぎていく日々の中で、彼はどれほど自分の体と向き合っていなかっただろう。
「とても上手ですよ。初めてとは思えません」
トレーナーの言葉に、亮は驚いたように顔を上げた。
誉められること自体が、いつ以来だったか思い出せない。
仕事では成果のみが評価される。努力も気持ちも、そこに含まれない。
しかし今、亮の小さな動作が、ただ“存在”として肯定された。
たったそれだけのことが、心の深いところで響いた。
トレーニングが終わった時、亮は息を切らしながらも、不思議な解放感に包まれていた。
重さは軽い。だが、それを持ち上げた自分の心は、来たときより確かに軽くなっている。
帰り支度を整え、ジムの外に出ると、もう夜風が街を覆っていた。
亮は深く息を吸った。
「悪くないな……」
呟いた声は、誰に向けたでもなく、ただ静かに夜へ溶けていった。
亮は気づかぬうちに、先ほどよりも軽やかな足取りで歩き始めていた。
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