僕の美容師のルーツ：2024年5月4日｜オーシャントーキョー(OCEAN TOKYO)のブログ

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投稿日：2024-05-04 23:39:03.0

僕の美容師のルーツ: 僕のシザーは３丁ある。
上の２丁は、自分で働いたお金で買ったものの中で1番高かった最初のシザー達。

1番手前の少し持ち手の穴が小さなシザーは、僕の母のもの。

母は美容師でしたが、僕が美容師を志す前の高校1年の時に病気で亡くなりました。

正直母に切ってもらってて上手いなんて思った事もなかったし、なんなら切られてる時ちょっとハサミが引っ掛かって痛かった。

でも母の美容院に行った時、あんな田舎で母のお客がいなかった時はなかった。

スーパーに行けば、いつも母のお客様に出くわす日々。

子供の頃の僕にはその凄さは分かりもしなかったが、それは確実に母の人柄の現れだったんだなと。

母はよく喋るし。喜怒哀楽がすごく激しい。かなりマメな方で、節約にはうるさい。

そしてなにより自分の事より家族が1番の人だった。

シザーは買い換えた事は無いらしい。高いから。

だからかな、痛かったの。

それでもお客さんが絶えないのは、みんなそんな母が人として好きだったんだと思う。

葬儀に訪れた人達は確か300人くらいだったかなぁ。田舎では異例の数なんだそう。

遺留品の中には、母のシザーケースも。

僕が美容師になりたいと思ったのは高校3年の剣道部を引退した後。

理由はまぁ、なんとなくかなぁ。

そんな僕に対して父は1度美容師への進路を否定した。

でもしばらくして僕の決意もさらに固まり、どうしてもなりたいと。

そしたら父はなるなら東京へ行けといいました。

僕からしたら行っていいの！？
という感じでしたね。

その時父がおもむろに母のシザーケースを僕に差し出して持ってけといったのは鮮明に覚えてる。

そして今、ようやくその重さが分かった気がする。

父からすれば、母の生き方は良い意味で僕の反面教師。男が美容を志すのと、女が美容をやるのとは意味が違う。

男がその道をいくならば、自分の為、これから出来るかもしれない家族の為、稼げる美容師に。

母のような自分の身体より家族の生活を優先しなければならなくなるようなギリギリの生活をしてほしくなかったんだろう。

父が言う稼ぐ美容師。母が見せた想う美容師。

僕はこの２つを決して忘れない。

ありがとう両親。

まだまだ美容師頑張れそうです。