ハサミの値段：2019年11月19日｜浜北ヘアクリニックのブログ

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投稿日：2019-11-19 20:42:51.0

ハサミの値段: こういう話って、美容に関係ないのに、
けっこう面白がられます

僕が使うハサミの値段の話。

かれこれ

16年目になるこの仕事の中で
10本（本当は丁って数える）くらい
買い揃えてきたハサミたち。

10代の頃は、
まともに給料をもらえず、社会保険も無いのに
手取り12万円でした。

そこから、
通勤のガソリン、練習マネキン、ハサミ、仕事の洋服を買っていました。

当時10代で彼女に買ってあげられるのは、せいぜい有り金をはたいたキーケースくらいです。

それでも同級生らが高校生の夏、とやらを満喫している中、
泣き恥くらい、血と汗を流して働きました。

血？
またまた大袈裟な。って？

いや、事実ね。当時の昭和の師匠なんて、顔を叩くくらい当たり前です。

もちろん国保に入るお金は無くて、風邪を引こうが病院には行けない、そんな日々です。

それでも丁稚奉公の時代でしたから、
「ありがたく」仕事をさせていただいておりました。

落ちた毛が散らかった床を「履かせて」いただく。

シャンプーの練習をお店の水道代を使って「させて頂く」。

40度熱がある？

師匠「さっさと解熱剤打って店に出て来いや」

僕「分かりました、すぐ行きます」

悔しくても、歯を食いしばりました。

まず金が先？休みが先？長期休み、社保がなきゃいや？

なめんなよ、と。

この考えが古臭いんじゃなくて、
今も昔も変わらず、そんなマインドの職人が、
超一流になることは無いんです。

お客様より、まず自分が大切なんですから、そんな職人を気にいる客は居ないということです。

だから私は私をぶっさらって育ててくれた師匠に心から感謝しております。

お客さんからすれば五万といる美容師の中から、自分が
生涯、せいぜい気にいる美容師（医者でも何でも同じ）
なんて、出会っても2人か3人でしょう

自分がそのうちの一人に入るって、相当なモンです。

就職するなら、僕、私への待遇が1番じゃなきゃ、イヤァー

なんてホザいて修行してる将来の職人を
誰が本気で追っかけるんでしょうか。

冗談はヨシコちゃんです。

で、これ、今使っているメインのハサミ3本。
左から9万円、14万円、13万円です。

毎月数千円ずつ、ローンで買ったあの時代を思い出します。