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川口そうぜん鍼灸院のブログ
サロンのNEWS
投稿日：2025-10-09 09:00:07.0
- スティッフパーソン症候群と鍼灸の挑戦・川口そうぜん
スティッフパーソン症候群（Stiff Person Syndrome：SPS）は、全身または特定の筋肉が硬直し、動作時に強いこわばりやけいれんが起こる希少な神経疾患です。自己免疫反応により、神経伝達に関わるGABA（γ-アミノ酪酸）の働きが阻害され、筋肉が過剰に緊張することが原因とされています。初期には背中や脚の張り感から始まり、進行すると姿勢保持や歩行が困難になることもあります。精神的ストレスで症状が悪化する傾向があり、心と体が密接に影響し合う病態です。西洋医学では筋弛緩薬や抗けいれん薬、免疫抑制療法などが用いられますが、効果に個人差があり、副作用も懸念されています。
鍼灸の役割は、筋緊張の緩和と神経の抑制性回路の回復をサポートすることです。鍼刺激によって脊髄レベルでの抑制系神経の働きを促し、GABA様の作用を高めることで、筋肉の過度な収縮を和らげる可能性があります。また、自律神経のバランスを整えることで、ストレスによる神経興奮の悪循環を断ち切る効果も期待されます。さらに、鍼灸による血流促進は、乳酸などの代謝産物の排出を助け、慢性的な筋硬直に伴う疲労や痛みを軽減します。臨床的にも「体の強張りが減った」「呼吸がしやすくなった」といった報告があります。
東洋医学的には、SPSは「肝風内動」「気滞血オ」として理解されます。肝は筋肉と情緒を司る臓であり、その働きが乱れると筋肉の緊張や情緒不安が現れると考えます。また、血流が滞ることで「オ血（おけつ）」が生じ、筋肉が硬直するため、施術では「肝を鎮め風を抑え」「気血を巡らせる」ことを目的とします。代表的な経穴としては「太衝」「合谷」「足三里」などが用いられます。
まとめると、スティッフパーソン症候群は治療が難しい自己免疫性神経疾患ですが、鍼灸は神経抑制系の回復、筋緊張の緩和、自律神経の安定化を通じて症状を和らげる可能性があります。身体の緊張を解きほぐすことで、日常生活の不安や動作の恐怖を少しずつ減らす手助けになるでしょう。
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施術者
吉田 奈未ヨシダ ナミ
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