世の中を憂しとやさしと思へども：2023年10月25日｜シンクショップ京都河原町店(THINK SHOP)のブログ

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趣味・マイブーム

投稿日：2023-10-25 23:16:06.0

世の中を憂しとやさしと思へども: 《偽りなき者》

ベルギー映画
マッツミケルセン主演！

（だいたい）
親友テオの娘クララの作り話がもとで変質者（ペドフェリア）の烙印を押されたルーカスは、身の潔白を証明しようとするが誰も耳を傾けてくれず、仕事も親友もすべてを失ってしまう。なんならバンバン迫害を受ける。周囲から向けられるこの変態野郎！という侮蔑や憎悪の眼差しが日に日に増していくなか、それでもルーカスは無実を訴え続けるが……。的な！
（ひとこと）
誰にだって一瞬で犯罪者になれるチャンスがある！
（ふたことめ以降）
僕はとてもマイナス思考でして、隙あらば悪い予想に思いを馳せています。ずっと「おっかなびっくり」生きているんですが、ひとしきり悪い事を考えておけば、現実は大抵「想像以下」なので、結果「なんぼのもんじゃい！」とノリノリでやってけるわけです。

結局地盤沈下しなかったし、右肩が突然爆発することもなかったし、予期せぬ犯罪の濡れ衣を被せられることはなかったしと、なんてこたあーないなと眠りにつくわけですが。

そこで本作は、思いもよらない地味な連続で、あたかも変質者となってしまった主人公。

基本的に予告編の通りなんですけど、すごくすごく良かったです。そして、すごくすごくやるせない映画です。

「無実の主人公が救われないまま自殺」とか、「このクソガキお前のせいだぞ！」と断罪するとか、どっちのラストも気持ちは分かるけどマンネリだし、「ぼくたちが観たいフィクション」とはかけ離れてしまいますが、この映画はちょうど良かった。

救われ過ぎないし、シコリの残る問題提起を残してくれました。
序盤に田舎町の仲間たちと仲良くしてるとか、離れ離れになった息子とまた住めるように頑張ってるとか、職場の同僚と恋仲になるとか、主人公の生活に厚みを持たせる描写がしっかりしてて。冤罪で日常を奪われた時の落差が印象的です。

他人の薄皮を一枚二枚はいだくらいで、裏だの本性だのと言ってしまいやすい照れ屋な風潮がどこにだってあるし、早く決めつけてしまわないとそわそわして仕方ない怖がり屋さんなとこが誰にだってあるし。しかも厄介なのが、勘違いだけじゃない事もそれ以上にたくさんあるし、諦めで警戒し続けなければならない寂しさもありますし、ね。

北欧独特のストーリー展開がそれに助役してくれて、チェンジアップのフォークボールみたいな感じ。