肩こりのそもそものお話

まずは簡単なテストで、あなたの肩の状態をチェックしてみましょう。首を斜め前に倒し、片手または両手で優しく頭を押し下げてみてください。「少し痛いけれど気持ちいい」という感覚があったなら、それはまさしく肩が凝っている状態です。一般的に首の付け根から肩、背中にかけて筋肉が凝り、張りや痛み、だるさなどが感じられる状態を肩こりと呼びます。肩を中心とした筋肉の血流が悪くなり疲労物質がたまってくると、このような症状が出てくるわけです。 「男性よりも女性のほうが肩こりに悩んでいる人が多い」と言われますが、それはなぜでしょうか? 私たちの肩は合わせて6kgほどもある頭と腕を支えています。女性は男性よりも首や肩の筋肉量が少ないため、それらの筋肉が常に緊張状態となり、血流が悪くなりやすいのです。また、女性はバストを支えるため肩に負担がかかるという理由もあります。適切な下着で補正できていればいいのですが、窮屈な下着で締め付けて余計に体に負担をかけてしまっていることも。さらに、女性は男性よりも冷え性の人が多く、血流が悪くなりやすいことも要因の一つです。

あなたも当てはまる?肩こりの4大原因

つまり、肩こりを予防・解消するためには、「筋肉の血流」に注目する必要があるわけです。あなたの体の血流を悪化させている理由が分かれば、効果的な予防や解消の方法が見出せるはず。まずは、特に多いと言われる次の4つの原因からチェックしてみましょう。

原因その1:長時間の同一姿勢

気づいたらずっと同じ姿勢のまま何時間もPCやスマホを見ていた……というのはありがちな話。体を動かさず同一の姿勢を取り続けていると、筋肉の緊張状態が続いて、だんだんと肩に疲れがたまってしまいます。

原因その2:眼精疲労

PCやスマホの画面をずっと見ていると、まばたきの回数がぐんと減ります。なんと、通常の4分の1程度にもなってしまうとか。まばたきしないということは、目の周りの筋肉を動かさないということです。これでは眼球が乾燥するだけでなく、筋肉の凝りにもつながってしまいます。

原因その3:運動不足

肩の筋肉をよく動かす水泳選手は、肩こりを気にする人が少ないと言われます。逆に、運動不足の人は肩周辺の筋肉の血流が滞りやすく、肩こりに悩まされがちです。

原因その4:ストレス

ストレスがあると知らずのうちに体に力が入り、歯を食いしばって歯の筋肉や神経を痛めてしまう人もいます。同様に肩周辺の筋肉も緊張状態を強いられ、肩こりの大きな原因となります。 自分に該当する原因が分かれば、簡単に予防・解消法を見つけることができます。以下の例を参考に考えてみましょう!

・長時間の同一姿勢:定期的に体を動かす⇒1時間に1回は肩を回す ・眼精疲労:目を休ませる⇒まばたきの回数を増やす ・運動不足:無理のない範囲で運動する⇒すきま時間にストレッチする ・ストレス:ストレスをため込まない⇒上手にリラックスする

超簡単!日常生活で肩こりを和らげる工夫

「そうは言っても、時間のかかる方法を日々実践するのは難しい!」という人も少なくないでしょう。運動やストレッチが体にいいとしても、毎日の習慣として取り入れるのは簡単なことではありません。そこで、忙しい生活を送るあなたでも簡単に実践できる、ちょっとした工夫をご紹介します。

カバンを左右の肩へ交互にかける

カバンを肩にかけると、その重さで肩の筋肉に負担がかかり、血流が悪くなります。さらに、カバンをかけている側の肩が下がることで、肩の位置に左右差が生じ、姿勢も崩れてきます。どちらかの肩にかける癖がある人は多いですが、「行きは右側、帰りは左側」というように、できるだけ交互に肩を使うようにしましょう。

リュックを使う

最近は、実用性が高いだけでなく、ファッション性にも優れたリュックが増えています。通勤用コーデにも合わせられる、大人っぽいデザインのものもたくさん。リュックを使うと、両手がフリーになるという快適さに加え、肩にかかる負担が左右均等になるという利点もあります。最初は抵抗があっても、いざ使ってみると「こんなに体が楽なの?」と驚き、リュックにハマってしまう人も少なくありません。

高い場所に必需品を置く

目覚し時計やマグカップ、家の鍵など、日常的に使うものの置き場所を高い位置にしてみましょう。「少し背伸びをすれば届く場所」にすることがポイントです。使うたびに腕を上に伸ばし、肩を動かすことができます。特に運動の習慣がない人にとっては、この「ストレッチ」を取り入れるだけでも大きな違いが生まれるはずです。

電車のつり革につかまる

通勤中に座れなかったときこそ、運動のチャンス。ドア付近にもたれかかるのではなく、つり革につかまってみましょう。力を入れず電車の揺れに身を任せると、自然に肩周りを動かすことができます。両手同時に行うのはちょっと恥ずかしいので、ここでも「左右交互」を意識して実践してみましょう。

プロのサポートを受けるのもアリ!

「最近、痛みがひどくなってきた……」「慢性化してしまった肩こりを解消したい!」という人は、リラクゼーションサロンなどを訪れ、いったん「体をリセット」してもらうことを考えてもいいでしょう。プロの施術で肩が楽になれば、その状態を維持したいという気持ちから、肩こりの予防法を実践する習慣が身につきやすくなります。 また、肩こりについての悩みを相談し、専門的なアドバイスをもらうこともできるはず。いつごろから肩こりに悩み、どのような症状に困っているのか、できるだけ具体的に伝えてみましょう。少しずつ、無理なく肩こりを予防できる習慣を取り入れることで、「肩こりになりづらい生活」が実現できるはずです!

執筆・監修:ナレッジリング/主に医療・介護に関するテーマを守備範囲とするライター・編集者グループです。https://www.knowledge-ring.jp/